キレイラインと
インビザラインの選び方

さまざまなメーカーから提供されるマウスピース矯正ですが、その症例数はブランドごとに大きく異なります。

以下に示すのは、主要なブランドの症例数です。
 

症例数が少ないのは後から開発されたブランドで、価格を大幅に抑えて市場シェアを拡大することが多いと聞きます。これらが「格安矯正」と言われるものです。

ここではマウスピース矯正の全ブランドを比較するのではなく、症例数11万人の「キレイライン」と、症例数1,500万人で世界一のシェアを誇る「インビザライン」に焦点を当てていきます。
 

キレイラインとインビザラインの比較に入る前に、「歯並びが悪くなる理由」についてご説明いたします。

歯並びの悪さに悩む方は多くいらっしゃいますが、そもそも悪くなる原因は何でしょうか？

主な原因は、歯の大きさに対してあごのサイズが小さいことです。

あごが小さいと歯が適切に並ぶためのスペースが不足し、歯並びが乱れてしまいます。美人顔の象徴である小顔に見えるのはメリットですが、あごの小ささは歯並びが悪くなる原因にもなるのです。

矯正治療では、限られた範囲のあごの中からスペースをどうやって作るか、が大切な課題となります。
 

ここまで、「あごが小さく歯を並べるスペースが不足していると歯並びが悪くなる」「矯正治療ではスペース確保が必須」ということをお話ししました。次に、キレイラインとインビザラインを比較していきます。

それぞれの矯正方法の違いは以下の通りです。
 

インビザラインが前歯と奥歯の両方を移動できるのに対し、キレイラインが動かせるのは前歯のみ。このため、スペースを確保する方法が制限されています。
 

奥歯を動かせないキレイラインは十分なスペースを作れないため、軽度な症状にしか適していません。

また、前歯を外側に広げることでスペースを作り出す手法は、矯正後に口ゴボになる可能性がある点に注意が必要です。

対照的に、インビザラインでは奥歯の移動を含めたさまざまな手法がとれるので、スペースの確保が容易です。軽度から重度の症例にまで対応できる柔軟性を持っています。
 

キレイラインの矯正方法について、もう少し深掘りしていきます。

あごのサイズが小さく、前歯を動かすためのスペースが不足している場合、キレイラインでは「前歯を外側に広げる」手法をとると先ほどお伝えしました。

この方法により、あごが小さくスペースが限られているケースでも、ある程度までは歯並びを整えられます。

どんな風に前歯を動かしていくのかは、キレイライン社公式サイトの動画をご覧ください。具体的なイメージが掴みやすいと思います。

キレイラインの前歯の動き　https://kireilign.com/wp-content/uploads/2021/03/effect-img-1.gif

しかし、この方法にはリスクが伴います。あごが小さいケースで強引に前歯を外側へ広げると、口ゴボを招く危険性があるためです。

右側のイラストまではいかないにしても、前歯が外側に突き出て、口元が膨らんで見える可能性があります。

歯並びが改善されても、見た目の印象が悪化してしまっては本末転倒です。矯正治療をしなければ良かった…と後悔することになりかねません。
 

キレイラインが前歯を外側に広げる方法でしかスペースを確保できない一方、インビザラインでは奥歯を奥へと移動することでスペースを作ります。

この奥歯を奥側へ動かす方法によって、前歯のスペースを確保することが可能です。

キレイラインで見られるような「前歯が外側に突き出て口ゴボになる」という失敗は起きませんので、ご安心いただけることと思います。
 

歯並びが軽度のケースでは、キレイラインの前歯を広げる手法やインビザラインの奥歯を動かす手法で、歯を並べるためのスペースを作れます。しかし、中度から重度のケースだと、これらの手法だけでは十分なスペースを確保できません。

このような場合は通常、前から数えて4番目の歯を左右一本ずつ抜くことで必要なスペースを確保します。

ただし、抜歯によって生じた余分なスペースは、前歯だけでは埋められない点に注意が必要です。奥歯を前方に移動させて、スペースを適切に埋めなければなりません。

矯正治療で抜歯を伴うケースでは、奥歯を前方に移動させる処置が不可欠なのです。

なお、奥歯を動かせないキレイラインの場合、抜歯によるスペースを適切に埋めることができません。抜歯した結果、歯に隙間が生じてしまいます。

つまり、キレイラインは抜歯を必要とするような中度から重度の症例には、対応できないということです。
 

対して、奥歯を移動できるインビザラインは、抜歯によるスペースを埋めることが可能です。抜歯しなければならない中度や重度の症状にも対応できます。

キレイラインでは治療できない複雑なケースでも、インビザラインなら矯正できる可能性が広がります。
 

さらに、インビザラインで前歯の矯正と合わせて奥歯の噛み合わせを調整すれば、理想的なEラインを実現できます。

Eラインとは、鼻とあごの先端を結ぶラインのことです。唇がこのEライン内に収まると、横顔の美しさが際立ちます。

つまり、インビザラインを用いて奥歯の噛み合わせを整えることで、お顔立ちも美しくなるのです。

また、顔の歪みやタルミ、エラ張り、ニキビなど肌の悩みも改善に導きます。患者さまが持つ本来の美しさを引き出すことができる矯正治療。それがインビザラインです。
 

インビザラインのメリットは、見た目が美しくなるだけではありません。奥歯の噛み合わせを整えることで骨格の歪みが改善され、全身の健康にもプラスの影響を与えます。

例えば、頭痛・腰痛・肩こりの軽減や、顎関節症のリスク低下などです。さらに、いびきの改善や虫歯・歯周病リスクの低減も期待できます。

インビザラインは、より健康的な生活を実現する治療でもあるのです。
 

インビザラインとキレイラインの間には、担当する歯科医師の面でも違いが見られます。

キレイラインの場合、そこまで高度な知識や技術が必須ではないため、矯正治療に精通した歯科医師でなくても対応可能です。

このため、一部の歯科医院ではキレイラインの担当医が複数おり、頻繁に歯科医師が変わることも珍しくありません。

対してインビザラインの場合、中度から重度の症例の治療には、矯正治療に熟練した歯科医師が担当するのが通常です。それは当院も同様で、初診から治療完了まで一貫して同じ歯科医師が治療を行います。

もしキレイラインでの治療を希望される場合、「担当医が治療途中で変わる医院もある」という点に注意が必要です。

同じ歯科医師に担当してほしい方は、治療を始める前に要望を伝えることをおすすめします。
 

インビザラインとキレイライン、それぞれの違いについてご紹介してきました。どのブランドのマウスピース矯正がご自分に向いているか、目星はついたでしょうか？

どれを選べば良いか分からずお困りでしたら、遠慮なく当院までご相談ください。

お口の状態を確認した上で、患者さまの症状に合った治療方法をご提案いたします。