ＡＩ頼りの矯正で失敗？

非抜歯矯正は、歯を抜かずに行う矯正方法として人気ですが、全ての症状を非抜歯で治療できるわけではありません。

お口の状況によっては、適切なスペースを確保するために抜歯する必要があるケースもあります。例えば、突出した前歯を引っ込めるのが難しい症例などです。

このようなケースで、もしAIが「抜歯せずに治療可能」と間違った提案をしてきたら。そして歯科医師が間違いに気づかず、そのまま治療を進めてしまったら。結果として、歯が傾いてしまったり外側に飛び出してしまったり、歯並びが悪化する危険性が高まります。

前歯のみを矯正する際、IPR（Interproximal Reduction）という処置を行います。これは、歯と歯のあいだを少量だけ削ることで、歯を動かすスペースを作る方法です。

一般的にIPRで削る量は約0.1〜0.3mmとされ、大きなスペースは作り出せません。しかし、実際にはスペース不足にもかかわらず、AIが「治療できる」と間違った診断を行う場合があります。

このようにスペースが足りない状態で矯正治療を進めると、前歯が外側に突出して口ゴボになりかねません。

特に「インビザラインGo」「キレイライン」「Oh my teeth」といった、前歯を対象としたマウスピース矯正で、このような問題が発生しやすいと言われています。

ワイヤー矯正は、昔からある矯正治療のスタンダードと言われている治療法です。

AIが導入されているマウスピース矯正とは違い、ワイヤー矯正では歯科医師の手で治療計画を策定しなければなりません。

つまり、ワイヤー矯正の経験が豊富な歯科医師は、AIの助力なしでも適切な診断と治療計画の立案ができる能力があると言えます。

マウスピース矯正をご希望の方も、ワイヤー矯正の経験が豊富な歯科医師に依頼すると安心です。

マウスピース矯正だけでなく、他の矯正治療法にも対応している歯科医師を選ぶことは、治療の選択肢を広げる意味でも重要です。

もしマウスピース矯正で治療できない場合に、別の方法を提案できる歯科医師なら、それぞれの症状に応じた柔軟な対応が可能です。

また、さまざまな治療法に対応できる知識と経験を備えているため、無理にマウスピース矯正を強行することもありません。「矯正後にかえって歯並びが悪くなった」といった失敗を避けられます。